馬の腸内細菌について
最近、プレバイオテックスやプロバイオテックスという言葉をよく耳にしますがどういう意味なのでしょうか?
馬は生まれてから、原始からとは完全に違った環境の中で脈々と命をつないでいます。大体は生まれてから1年で母馬との離別、馴致、調教を経た後、故郷を離れレースや乗馬に適した境遇の中で成長していきます。
環境の変化はトレーニングと相まって様々な疾病の原因となることも有ります。自然の中でゆっくり長時間、馬は草を食み、水を飲み静かに移動しながら平和に暮していました。
それとは違い決まった時間に食事を与えられトレーニングなどの外部要因で、馬は大きなストレスを感じています。

哺乳動物の腸内には、多種多様な細菌が生息しており、それらはなんと、数百種といわれています。特に消化器系の栄養の吸収を担う小腸から大腸にかけて、これらの細菌が種類ごとにグループを形成してまとまり、これらの器官の壁に住んでいます。
顕微鏡で見てみると、それらはまるで多種の植物が群生している「お花畑([英] flora)」のようにみえたことから、『腸内フローラ』と呼ばれています。
健康な腸内では、善玉菌が悪玉菌を抑える形で、「腸内フローラ」が一定のバランスが維持されています。このバランスが崩れた時、又何らかの原因で悪玉菌が優勢になってしまうと、
腸内腐敗が進んでアンモニア、フェノール、インドールなど健康に有害な物質が増えます。有害物質が腸管から吸収されてしまい、胃や腸に負担を与えたり、食欲が落ちて、運動器系に影響を与えてしまう事も有ります。
プレバイオティクス
プレバイオティクスという言葉は、1994年、「腸内菌叢:栄養と健康」と題するワークショップでGibsonとRoberfroidにより提唱されました。
プレバイオティクスは大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分と定義しました。プレバイオティクスに要求される条件は以下の通りです。
- ①消化管上部で加水分解、吸収されない。
- ②大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する。
- ③大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる。
- ④宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する。
プロバイオティクス
プロバイオティクスという言葉は、「健康のために」という意味のギリシャ語が由来とされ、健康に利益をもたらす善玉菌を指しています。生きたまま腸までたどりつき、そこで産生する乳酸などの代謝産物が、有益な健康効果をもたらしてくれます。
乳酸によって、腸内が酸性になることで悪玉菌の増殖は抑えられ、有害物質が減少します。腸の機能が活性化され、消化吸収が促進されれば、便秘や下痢の解消・予防にもつながります。
胃酸や胆汁酸に弱いプロバイオテックスもあるため、その効果をより高く発揮させたいなら、“生きたまま”腸まで届くものを選びたいところです。
プロバイオティクスに含まれる微生物にはたくさんの種類があり、プロバイオティクスは、副作用や薬剤などでみられがちな耐性菌の出現することはなく、安全で、健康を維持するためのとても優れた手立てといえるでしょう。