馬の関節炎について
馬の関節炎は,頻繁に直面する疾患の1つであり関節症害が重篤になると跛行状態になります。急性期には馬は疼痛を感じ、トレーニングを継続すれば跛行状態がよりひどくなります。
初期においては関節液の増加や軟部組織の腫脹がみられ、球節の屈曲を行った直後に馬に速歩をさせると跛行がはっきりと確認できます。

関節炎の治療目標

関節炎の治療目標は、関節痛を緩和させ、跛行スコアを改善し、関節炎を慢性化させない事です。薬物治療、理学療法、トレーニング内容の変更など治療を組み合わせながら取り組む必要が有ります。薬物治療には下記の様な代表的な薬剤が使用されます。
ヒアルロン酸ナトリウムはあらゆる哺乳類の組織に存在し特に滑液に高濃度に存在します。
ヒアルロン酸は滑液の粘度を潤滑にし、軟骨に栄養分を補給します。また抗炎症作用も確認されています。
ペントサンナトリウムも関節炎をもつ動物に対して使用される薬です。関節内のヒアルロン酸合成促進作用や、軽度の疼痛緩和、関節内血流の増加作用などがあるという事で使用されています。
その他にショックウエーブ療法やレーザーを使用しての疼痛緩和などの治療方法があります。
ショックウエーブ療法はフリーラジカルの放出、プロスタグランジン放出の低減などの抗炎症作用が確認されています。
レーザー治療は光生物学的刺激を与えることによって疼痛緩和、炎症の軽減、微小循環の増加などが目的で治癒の促進を目指しています。